特集 IPEの達成とこれから 「地域で学ぶ」を中心に
専門職連携コンピテンシーの確立─千葉大学亥鼻IPEの展開から
酒井 郁子
1
,
大塚 真理子
1
,
藤沼 康樹
1
,
山田 響子
1
,
宮古 紀宏
1
1千葉大学看護学研究科所属専門職連携教育研究センター
pp.112-115
発行日 2015年2月25日
Published Date 2015/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200095
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継続的な専門職連携教育(IPE)の必要性
医療はもともと多くの領域の異なる専門職により担われてきたが,従来それぞれの専門職は独自の知識技術構造と教育システムをもち,排他的な世界を構築してきた。しかし,このような従来型専門職のあり方では現在の医療の変化にうまく対応できないことが指摘されている1)。従来型専門職のあり方への疑義は,例えば,「主治医としてすべての責任を負い」「他の専門職種へ権限は移譲せず」といった傾向が強いとされてきた医師像は,Lone physician model(孤高の医師モデル)という神話であり,協働と連携と患者中心性を軸とした医師のモデルが必要であるという指摘に表れている2)。一方,看護においては,その役割拡大および業務拡大が世界的に進行しつつあり3),医療専門職全体において,大規模なタスクシフテイングが生じているといえる。このような状況にあって,世界的にIPEの必要性が高まっているなか,医療専門職の教育目標について,Thistlethwaitらは,IPEの観点から以下の3つの領域を提示している(表1)4)。
現場で有効に働くためには,従来の教育目標に加えて,それらを下支えする「すべての専門職に必要な一般的能力」の獲得がすべての医療専門職に必須である。IPEの基礎教育プログラムでは特にこの一般的能力にフォーカスをあて,他の職域の学生と,「ともに学びお互いに学びお互いについて学ぶ」5)という方法論がとられることが多い。
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