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はじめに
埼玉県立大学(埼玉県越谷市)は,1999(平成11)年に開学した保健医療福祉学部のみの公立大学である。学科構成は,看護学科(1学年定員120名),理学療法学科(同40名),作業療法学科(同40名),社会福祉子ども学科(同70名),健康開発学科(同110名)の5学科。開学以来,「保健医療福祉の連携と統合」を教育の基盤に置いてきた。その後,この分野における国際的な先駆的取組みの研究と二度にわたる大幅なカリキュラム変更を経て,連携と統合の教育は,専門職連携実践(Inter-professional Work:IPW)を行うための専門職連携教育(Inter-professional Education : IPE)として位置づけるに至っている。
本稿では,埼玉県立大学におけるIPEを概観しながら,本誌の趣旨である看護学生の教育に資する観点を紹介したい。筆者は,社会福祉子ども学科の教員ゆえ,看護教育とは少し距離があるが,敢えてこのような立場で論じることに,大学横断型の取り組みの気概を感じ取っていただければ幸いである。
なお,本学では,英国の専門職連携教育推進センター(UK Center for the Advancement for Inter-professional Education : CAIPE)の定義に基づき,IPWを「複数の領域の専門職が,それぞれの知識と技術を提供し合い,相互に作用しつつ,共通の目標の達成を患者・利用者とともに目指す援助活動」,そのためのIPEを「複数の領域の専門職者が連携およびケアの質を改善するために,同じ場所でともに学び,お互いから学び合いながら,お互いのことを学ぶこと」とそれぞれ訳出し用いている。
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