- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
2009(平成21)年のカリキュラム改正以降,多くの看護専門学校や看護系大学において,学生の看護実践能力育成に向けてのさまざまな取り組みがなされている。特に「看護の統合と実践」における教育内容や教育方法については,夜勤実習や看護管理実習の導入,卒業前の技術チェックの強化など,それぞれの学校における創意工夫が見られる。2014(平成26)年のいま,今回の改正カリキュラムにより育成された卒業生も,看護師として2年目を迎え,各校において教育内容や教育方法の振り返りが求められる時期といえる。
愛知県立大学看護学部(以下,本学部)においても,2009年のカリキュラム改正を受け,「卒業前の看護実践能力の確認,定着を図り,卒業後に進むべき看護専門分野への動機づけを図る」ことを目標とした「看護の統合と実践」科目を設定し,各看護学分野が教育内容や教育方法などについての共通認識,共通理解のもとで,連携・協働しながら学生の実践能力育成に向けて看護学部全体での取り組みを実施してきた。
本学部の看護実践能力育成への取り組みの特徴は,1つの科目の企画・運営・実施に各看護学分野の全教員が連携を図り,教育内容や教育方法を共通理解していく体制として「看護の統合と実践」検討プロジェクトチーム(以下,プロジェクト)を立ち上げて進めたことにある。このプロジェクトでは,(1)卒業時に到達させたい看護実践能力レベルを全教員が確認したうえで,各看護学分野との関連性を検討し,本学部の実践能力の到達度を決定,(2)卒業前の看護実践能力の確認,定着を図るための方法として,SP(Standardized Patient:模擬患者)を活用した臨場感ある場面設定におけるOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)などを導入,(3)卒業後の進路選択を見据えた看護専門分野への動機づけを図るための方法として,学生の希望を考慮した専門分野別の少人数体制の演習を導入,の3点について検討を重ねながら,実践能力の育成を推し進めてきた。
そこで,本連載では,本学部の卒業前の実践能力育成への取り組みプロセスと実施状況を13回にわたって紹介し,実践能力育成への取り組み方を振り返るとともに,読者の皆さんからのご意見を伺いさらによりよい教育に向けて取り組んでいきたいと考えている。
第1回では,本学部における卒業前の実践能力育成に向けての,開講前の約3年間の取り組みプロセスと「看護の統合と実践」科目の全体プログラムについて紹介する。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.