時評
サービス以前
宮森 正
1
Tadashi MTYAMORI
1
1川崎市立三田病院
pp.993
発行日 1989年9月1日
Published Date 1989/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209695
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欧米先進国からみて,日本の家が"うさぎ小屋"だとすれば,公的病院の多くは難民収容所と言ってもよいのではなかろうか.これまで医療サービスといえば,あくまで市民生活に不足している医療を供給するだけで,患者や住民がそれ以上便利になったり快適になったりする必要はないと思われてきた"ふし"がある.患者が外来で多少待たされたり,汚い病室で冷めた食事を食べさせられたとしても,それに不満を持つのは贅沢というのが暗黙の了解事項であった.少なくとも日本が貧しい時代にはそうであった.しかし,金満国になっても病院の環境水準が昔と同じでは誰も納得しなくなった.
「患者サービスの在り方」に関する報告が,懇切丁寧な"サービスとは何か"をガイドラインとともに発表したのは,病院の現状を考えれば当然の帰結であった.
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