第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
エッセイ部門講評●自分を見る眼,人間を見る眼
柳田 邦男
pp.656-659
発行日 2012年8月25日
Published Date 2012/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102149
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■柳田邦男賞 受賞 片山奈津美 自衛隊中央病院高等看護学院1年
■みずみずしい感性にふれて
今年は最終選考に残った看護学生たちのエッセイ10編を読み終えたとき,とても充実感のある豊かな気持ちになった。それは,みずみずしい感性をもった学生たちのゼミナールに参加して,それぞれの生きいきとしたフィールドワークの報告とディスカッションを聴いたときの気分に似ていると言おうか。今の世の中,うんざりするような出来事や腹の立つ出来事が,連日のように報道されているが,こういう若者たちが人のいのちにかかわる医療の現場のこれからの担い手になるのかと思うと,暗い荒野の前方にいくつもの灯を見つけたような安堵感がこみあげてきて,嬉しくなる。今年も選者を務める機会を与えられたことに,まずは感謝申し上げたい。
そんな感慨を抱いたのは,学生たちのエッセイ10編が,それぞれにはじめて向き合う患者へのかかわり方に迷うなかで,何らかの形で自分自身の内面を見つめ直さざるを得なくなり,自分なりの新境地を拓いていく経緯が,素直な文章でしっかりと書かれているからだった。その意味において,今年は全体に作品のレベルが高く,エッセイ賞として1作に絞るのに苦労したほどだった。以下に,候補作の1点1点について,私がどういうところに興味を引かれたかということを中心に感想を記しておきたい。
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