第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
講評●気づきから自己分析へ,そして成長
柳田 邦男
pp.612-615
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101827
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■コミュニケーションの難しさ
人がどのような感情を抱き,何を考えているのか,どのような心理状態にあるのか,といった内面的なことは,聞いてみないとわからない。作家として取材をする仕事を長年してきて,よくそう思う。とくに医療の現場で患者の気持ちを把握しようと思ったら,そうだ。
では,何でもかでも,患者に聴けばよいのかとなると,必ずしもそうではない。医療者がいちいち訊ねたら,患者はうるさく思い,怒ることさえあるだろう。患者・医療者間のコミュニケーションは難しい。今回の候補作品のなかには,その難しさをテーマにしたものが少なくなかった。最優秀作品に選んだ竹原裕美さんの「患者の心に寄り添いたい」をはじめ,松野想平さんの「扉」,荒木田和美さんの「Aさんと私の“時”」,出村美千香さんの「信頼関係を築くことの難しさ」,小谷川美鈴さんの「アルバイトの看護婦さん」がそれだ。
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