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Jeanne Manceによるケベック州モントリオールでの病院の設立
カナダの東部,ケベック州に位置するモントリオール(図1)は,冬季にはマイナス20度にもなり,先住民やエスキモー以外の住民のほとんどが都市に集中し,地下に街が形成されている。現在は,暖房と地下街,網の目のようにめぐらされた交通網のおかげで,北米東部のなかでも,過ごしやすい街でもある。現在,約150の国々から移民を受け入れ,多くの人種が共存し,カナダの他の州とは一線を画し,フランス語を第一言語とし,英語も公用語とする魅力ある都市である。先進国でありながら,そこでの看護が日本に紹介されることはフランス語圏ゆえに,稀である。
多文化共存社会のなかで発展していく,国際看護カリキュラムの検討を兼ねて,筆者らは2005年以降,毎年訪れている。このモントリオールにHôtel-Dieu de Montréal病院(写真1)に属する小さなnursing museum(Musée des Hospitalières de l'Hôtel-Dieu de Montréal)(写真2)が存在する。そこには,当時の過酷な寒さの土地で,看護師が他の医療専門家の先駆者となり,病院を設立し,病人のケアをはじめた様子が7350点にも及ぶ展示物と共に紹介されている。それは,世界に類がなく,日本に紹介されている記事は今までに見当たらない。そこには,今から約400年前に生まれたJeanne Mance(図2)によって開拓されていた看護へのフロンティア精神が漂っている。ナイチンゲールが生まれるはるか180年前のことである。そこでは国際看護の精神を垣間見ることができ,深い感銘を受ける。
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