図書紹介
—曾田 長宗著—「社会医学のはるかな道」
長谷川 泉
1
1医学書院
pp.765
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207147
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曾田長宗先生の名前は社会医学の先達として戦後の激動の時代の貴重な道標であった.戦前・戦中,既に台北帝大医学部教授,総督府警務局衛生課長などを歴任されていたが,戦後引き揚げ後は厚生省統計調査部長・医務局長,公衆衛生院院長などの特に重要な要職を占められ,この間及びその後も政府代表としての各国への出張や,公衆衛生学会長を初め,WHOの総会議長をつとめられるなど,研究者・学者・行政官・実践者としての活躍がめだった.
本書は「医療の社会化」「医の倫理と医療制度」「社会医学と疫学」「公衆衛生」「余滴」「思い出の記」の六つの柱がたてられて編集されている.本書の編集世話人は相磯富士雄・芦沢正見・上田フサ・塩見正・西三郎・橋本正己・福島一郎・前田信雄の諸氏である.遺稿を中心に,夫人以下の「思い出の記」をもって構成されている.広い活躍の場を持たれた曾田先生の活動の全容を一書にまとめることの困難は,並たいていのことではなかったと思う.編集の方針としては,前田信雄氏(国立公衆衛生院衛生行政学部)の「編集後記」に記されているように「なるべく一般的な論稿」「広い分野をカバーする」「入手し難いものを優先」などの観点から取捨選択したとされている.
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