特集 授業研究のすすめ
看護教育の初めの一歩は自分の授業研究から
川口 孝泰
1
1筑波大学医学医療系保健医療学域
pp.6-10
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102597
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はじめに
看護教育に関する研究は,学生を研究対象とした質問紙調査や聞き取り調査などが多く,教科目の教育目標が達成できたかどうかに関する,教員の教育的介入の改善に活かす研究は非常に少ないのではないか?このような疑問から,かつて日本看護学教育学会の教育プロジェクトでは,この仮説を確認するために,当該学会の過去の発表抄録の内容を分析し,その実態を調査したことがある。
図1,2は,その際の分析結果の一部である。データは古いが,1991年度から2002年度までに,日本看護学教育学会で発表された1361件の抄録について,その研究内容を8アイテム,68カテゴリーに分類し,看護学教育研究に精通した8人の教育・研究者によって内容分析を行った。この研究によって,当時の看護学教育の研究内容の特徴として明らかになったのは,仮説通り,ほとんどの研究の研究対象は「看護学生」であり,「看護教員」や看護専門職を対象とした授業研究はそれに比して少ないということであった(図1)。
また同調査での研究方法においては,質問紙や,自作の尺度を使用したもの(信頼性や妥当性は保証されていない),既存の尺度を使用し,学生のパーソナリティなどと,学習実態などとの関連に関するものが6割ほどを占めていた(図2)。同時に分析した研究内容と合わせて分析したところ,教員が行った教材開発や,評価,分析・点検に関する教育内容や教育方法を扱った研究は極めて少なかった1)。
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