特集 対話のスキルを教育に活かす!
教員と学生の対話力の向上―コンコーダンスを通じて実現する相互作用
安保 寛明
1
1未来の風せいわ病院
pp.904-911
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102529
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コミュニケーション力は看護師にとって重要ですが,教員にも重要です。看護教育は義務教育等の先にある高等教育であり,学生および新人教育の出発点も到達点も各個人で異なります。そのため,目標や課題などを一方的に提示する教育方法だけでは教育効果は上がりません。双方向的な教育プログラムや学生との直接対話によって学生の状況の整理と動機づけを行う必要があります。
対話とは「対等な関係性に守られて話す」ことです。教員と学生の間はとかく権威的で一方的な関係になりやすく,初等教育のような規律重視の教育方法によって学生のやる気が低下することがよくあります。年齢や立場や身体的特徴などの違いから完全に同等な関係性をつくることは不可能でしょうが,その違いを脅かさないのであれば違いがあっても安全で対等な関係を維持することができます。一方で「対等な関係」というと,丁寧さや礼儀を欠いた関係であると勘違いする人がよくいます。教員が丁寧さや礼儀を欠いて乱暴な物言いをすれば距離感が縮まっていいのだ,と誤解している方も多くいます。この点,コンコーダンス(調和・協調)の概念は関係性を重視した用語であり,結果的に自己効力感を高めることができる関わりをもたらします。
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