特集1 行って見て聞いた オープンダイアローグ発祥の地ケロプダス病院
“不確実でも安心”を実現させる対話
大谷 保和
1
1筑波大学医学医療系社会精神保健学分野
pp.16-17
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200172
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研修参加前に一通りオープンダイアローグについて自習して印象に残ったのは、電話相談から始まりグループミーティングへとつながる一連のかかわりにおいて、「治療者側が患者さんをコントロールしようとしない」一貫した姿勢だった。
問題について説明や見通しを与えない、結論も出さない、診断は求められない限り伝えないなど、さまざまな問題や症状に襲われ不安定になっている患者さんを、てっとり早く安定させるためのかかわりはしないことが徹底される。これは「不確実性への耐性」と呼ばれ、オープンダイアローグのうち「最も難しいが最も重要」な作業とされる。そして患者さんが直面する不安や見通しの立たなさなどの「不確実性」に治療者側も飛び込む形で、ただ対話を継続させることのみを目的として、グループで開かれた対話を繰り返しているうちに、やがて患者さんがよくなっていくのだという。
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