特集 対話のスキルを教育に活かす!
コンコーダンスで対話のスキルを身につける―「対話のスキルは身についている」という勘違いからの脱出
武藤 教志
1
1八尾徳洲会総合病院
pp.895-903
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102528
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慣用句化した「傾聴」
教員や実習指導者だけでなく,現場で働く看護師も「傾聴」の大切さを唱える人は多い。筆者が講師を務めるコミュニケーション関連の研修の受講者,ほとんどが現場で働く看護師であるのだが,彼らに「看護するうえで傾聴がとても大切だと思う人は?」と尋ねると全員が手をあげる。しかし,「では,傾聴を技術として看護学生に教えられる人は?」と尋ねると,ほとんど手があがらない。大勢の前で当てられる恥ずかしさを想像するあまりに挙手できないことや奥ゆかしいお人柄を差し引いたとしても,「傾聴」を技術として教えられる人はそれほど多くはないようである。
また,看護学生の実習計画発表に同席すると,決まって数名の学生が「患者の話を傾聴したいと思います」と発表するが,「傾聴の仕方を教えて」と尋ねると,答えに窮してしまう。もはや,ケアプランとしての「話を傾聴する」や医療者の記録にみられるような「話を傾聴した」は慣用句化してしまっており,「傾聴の技術とは何か」をあらためて問われることで,「はっ」として,傾聴が技術であったことに気づくというのが現実のようである。
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