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●【主な論文】「看護学士課程における教員と学生のシラバスへの期待の比較」から
『JNE』48巻3号掲載の「看護学士課程における教員と学生のシラバスへの期待の比較」を,私は学生の立場から興味深く読み,「学生たちが良い成績を修めるためのガイドをシラバスに求める」という点に同感しました。学生にとっては「課題の提出期限,採点基準,やり直しポリシー」が重要なのです。逆に,教員の立場では「授業の目的,誠実な学習姿勢がシラバスで重要視されている」ことが新しい発見でした。
この論文(DavisとSchrader, pp125-131)では,「シラバスは契約だけでなく,学習のツールである」と紹介され,Adult Learning Theory(成人学習理論)(Knowles,1970)の視点から教員と学生の視点の違いを考察しています。“成人学習者”は教員をパートナー,そして学習資源であり,共に学ぶ立場と認識し(Leith, 2002),筆者らは,「シラバスは成人学習者が求めるような学習フレンドリーな環境に貢献すべき」で,「シラバスは教員と学生間の授業に対する期待を明らかにすることで,学生のパフォーマンスを向上することができる」と述べています。筆者らは,教員と生徒に質問用紙を配り,それぞれどのような内容をシラバスに期待するか調査しました。研究結果から,「教員と学生共にシラバスには以下の内容が含まれるべき」としています「採点基準,採点尺度,課題の情報,必須読本,必須参加条件,課題提出期限遅れのポリシー,教員の連絡先(N=226)」。この研究は質問用紙の内容妥当性を追究し,パイロット・テストを受けて質問用紙の変更も行っているのですが,研究限界としては,1つの看護部からのデータであり,教員の標本サイズが27人であることが挙げられます。この研究結果の適応は限定されてしまいますが,シラバスに対する教員と学生の期待の差,そしてそれぞれのグループの期待についての手がかりを得ることができるものです。
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