書論
コンコーダンス―「説得」じゃなく、「気持ちに寄り添う」スキル
小瀬古 伸幸
1
1ハートランドしぎさん
pp.67-72
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100796
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その人の暮らしにどのような医療がフィットするか
今から約2年前、私が勤務するハートランドしぎさんで、『コンコーダンス──患者の気持ちに寄り添うためのスキル21』の著者である東北福祉大学の安保寛明氏(現:智徳会岩手清和病院社会復帰支援科長)と、さわ病院の精神看護専門看護師の武藤教志氏を講師に迎え、研修会が開かれました。私はその研修会に参加し、コンコーダンス・スキル(以下、CS)と出会いました。
コンコーダンスとは「調和」を意味する言葉です。この本の冒頭には、コンコーダンスの目指す「調和」について、「患者の価値観やライフスタイルに、患者にもたらされる医療や福祉のあり方が、調和すること」と書かれています。また、コンコーダンス志向について著者の安保氏は、「医療の決めたベストな処方や地域資源に患者が合わせるのではなくて、患者が考える人生の価値観や目標に沿った生活の構築があり、その一部として医療がどのように協調することができるのかを当事者である患者自身と医療者が考えるのだ」ということを強調しています。
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