連載 実習の経験知 育ちの支援で師は育つ・24【最終回】
豊かな看護の森が広がることを願って
新納 美美
1
1北海道大学大学院理学院自然史科学専攻
pp.784-788
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102497
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最後の旅へ
「現場の看護職を支える仕事がしたい」と思う気持ちを抑えられなくなった私は,2年前の春に教育を離れました。退職を決めてから旅立ちまでの半年以上の間,私は勢いよく走る列車のなかで降りる駅を探していました。しかし,結局,時が満ちてしまい,駅のないところで列車から降ろしてもらうことになったのです。それまで乗っていた軌道を外れると,そこには何からも規定されることのない茫洋とした世界が広がります。自分が歩くスピードでしか変わらない景色とやわらかな風あたりのなかで思うのは,「この先の道をどうやって拓いていこうか」そればかり……。この連載のお仕事は,そんな状況のなかでいただきました。私のなかに残された“実習の経験知”という財産を形にして本誌に掲載していただく機会を得たことは,とてもありがたいことでした。以来,読者という顔の見えないお客様を,毎回,楽しい小旅行にお連れして,育ちの支援の世界を疑似体験していただこうという思いで,文章を綴ってきました。最後の旅になる今回は,学生に育てられた“現在の私”が捉えている育ちの支援の世界観のなかへご案内したいと思います。
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