連載 思い出すけっち[あの人、あの時、あの言葉]・33
看護ケアの復権を願って
高岡 スミ子
1
1福井県立病院看護部
pp.1144-1145
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900767
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職場の変遷を振り返る
終戦の年の7月19日,私の勤めていた病院は,大空襲によって焼失し,着の身着のままの状態で,焼け残った隣接病院の病室を仮診療所として治療を再開した.その年入所した看護生徒と,数名の看護婦を交えて,配給物資の運搬から炊事まで共同作業であたり,水も不自由,風呂場もなく,不潔な生活を送っていた.やがて,市街にも,復興の兆しが見え始め,仮住居の病院も何とか患者を受け入れるまでになり,希望が沸いてきた矢先の昭和23年6月,あの福井地震によって再び混乱の中で過ごすことになった.
二度の災害にも屈せず,全職員の協力で困難を乗り越え,放置されていた焼け跡に,昭和25年4月から発足する福井県立病院の本館が建てられ,ようやく落ち着いて勤務につくことができた.
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