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日本リハビリテーション医学会雑誌がリニューアルされたことをたいへんうれしく思います.リハビリテーション医学の発展のためには,一般市民,各種団体,他学会,講座をもたない大学などに,培った業績をもとに声高らかにリハビリテーション医学のすばらしさと必要性・専門性を積極的に啓蒙,教育をすることはきわめて大切です.そして,リハビリテーション医の手術,薬ともいえる理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師,ケースワーカーなどに対して,彼らの力が十二分に発揮できるように環境整備を行い,お互い同じ土俵で切磋琢磨しながら,良質なリハビリテーション(以下,リハ)の充実・確立を図る必要があることも大切な事項であることはいうまでもありません.こういった意味では,たいへん意味のある雑誌が創刊されたと思っています.
少子高齢化でリハ医学は重要であるといわれる中,1990年に医者になった筆者は,いつも,『でも』『しか』リハや脳卒中リハの遅さとたたかってきました.一方,リハ医学のメインの一つでもある骨関節系のリハ,つまり,整形リハは手術の技術が格段に高くなり,人工股関節の手術などは入院期間が確実に1/3〜1/4に見違えるほど短縮され,患者の満足度も上がりました.脳卒中後の後遺症のリハは,障害受容や代償行為が中心であり,治療学が抜け落ちています.逆に言うと,治療学以外の患者に関する考え方や姿勢などが完璧であり,医療の神髄である治療学が抜けているため,脳系のリハを志す医師が少ないともいえます.その脳卒中後遺症のリハに関して,経頭蓋磁気刺激と集中リハを組み合わせた治療法を世界に先駆けて治療体系化して,上肢麻痺,下肢麻痺,嚥下障害,失語症の患者に対して,全国の関連病院と連携して3,500人以上に施行し,よい成績を上げてきました.その成果を説明した成書や論文が海外でも高く評価され,英訳し教科書として去年12月に出版しました.
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