特集 コミュニケーション力を育む─実習前に教員としてできること
専門看護師に聞く─領域ごとに求められるコミュニケーション力
老年看護
藤田 冬子
1
1高知県立大学看護学部老人看護学
pp.865-867
発行日 2012年10月25日
Published Date 2012/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102214
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臨地実習で学生の指導を担当するのは実習指導者ですが,その彼女ら・彼らに対して専門分野の臨床教育を行っているのが専門看護師です。本稿では,臨床現場および実習指導の全体に精通した各領域の専門看護師の皆さんに,「自分が学生に教えるなら」という視点からコミュニケーション教育のヒントをいただきました。
長く臨床にいた私には衝撃的なことだった。実習中の学生が「患者さんと話ができませんでした。すぐに沈黙になって……」と,教員のところに戻って涙ぐむ。高齢者と話をすることに慣れていない彼らは,いつものようにはいかないことを体験する。難聴の高齢者には,声のトーンを下げてゆっくり話す,一度にたくさんのことを話さないなど,高齢者ケアで考慮すべき知識はもっていても,看護技術としてそう簡単には使えないのである。高齢者の前に立つと頭が真っ白になり,友人との会話のようにはいかない。共通の話題がない,プロフィールは知っていてもコミュニケーションを展開していける力がない。その結果,当然のこととして,会話を続けることはできない。彼らが援助者としてむかえた初めての試練だった。
本稿では,看護学生が高齢者とのコミュニケーション力を高めるための関わりをテーマに,老年看護の現場で求められるコミュニケーション力,基礎教育のなかでそれらをどのように教えるかといったことについて論じることとする。
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