特別記事
回想法が引き出す未来への手がかり―高齢者といかに関わるか―黒川由紀子氏(慶成会老年学研究所所長,上智大学総合人間科学部心理学科教授)に聞く
藤田 冬子
1
1長浜赤十字病院
pp.566-572
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100171
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
――多くの高齢者は「どうせ若い人に話しても,興味もないだろう」「誰も聞いてくれないだろう」と諦めている。もしいま一度語られることがあるなら,それを受け取ることにはすごく大きな意味がある―と,黒川さん。黒川さんの著書『百歳回想法』(木楽舎)を読み,「100歳まで生きてみないとわからないことがある」という言葉に触発された藤田さんが,回想法の意味について黒川さんに聞きました。
生き生きと語る高齢者を目の当たりにして
藤田 高齢者をケアの対象にすることが,黒川さんの大学生の頃からの夢だったと,何かで読ませていただいたことがあります。
黒川 私が高齢者の心理に興味をもったのは,たしかに大学生の頃です。当時は,ヒトのライフサイクル全体について学びたいという思いをもっていました。修士論文では,高齢者の創造性をテーマに,高齢で活躍されているアーティストの先生方にインタビューや心理検査をさせていただき,分析をしました。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.