第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
論文部門講評●学生の「臨床」:対象者をありのままに受け入れるという在り方
佐藤 紀子
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1東京女子医科大学看護学部(看護職生涯発達学)
pp.710-711
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102480
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はじめに
学生論文の審査をお引き受けして,今年で3年目になった。看護師を目指す学生は,実習という学習において,知識を記憶することや活用することを超えた,固有の経験をもつ患者や家族,そしてそこで仕事をする看護師などの医療従事者たちとのダイナミックな出会いを経験し,それまでの経験と統合しているのであろう。学生は自分たちの感性を用いて臨む「臨床」の場面から,実に多くのことを発見し,そこから学んでいるのだと思う。
今年度,私の気持ちを惹きつけた論文は,青木澪さん,川端紫野さん,鈴木芹奈さんという3人の学生の共著であった。これまで,学生の論文は一人の学生が,実習で受け持った患者や家族との相互作用のなかで思考し,実践した内容を記述したものがほとんどであった。しかし,今回は3人の学生が3人の認知症高齢者との相互作用のなかから見出した,「日常生活のサイン」を観察し,その記録を基に対象者のニーズを確認しつつコード化し,カテゴリー化を試みた研究であった。学生にとって卒業論文として取り組んだであろうその過程と成果は,臨床看護師にとっても大変意義があると評価したので推薦するとともに,読者の皆様と共にこの論文の内容と意義を考えてみたい。
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