特別記事
教育が看護の現場を変える臨床現場に定着しつつあるCON(Client─Oriented Nursing)―ウズベキスタンでのJICA看護教育改善プロジェクトの成果
桜井 礼子
1
,
藤内 美保
1
,
菊池 志津子
2
,
草間 朋子
3
1大分県立看護科学大学
2社会福祉法人恩賜財団済生会
3東京医療保健大学東が丘看護学部
pp.588-593
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102128
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ウズベキスタンにおける看護の急速な変貌
著者らは,JICAプロジェクトを通して,2004年7月から2009年6月までウズベキスタン共和国(以下,ウズベキスタン)の看護教育の改善に関わってきた。2004年当時のウズベキスタンの看護はDoctor─Oriented Nursingであり,看護師は医師の補助者としての役割を果たすことが主な業務で,医師の指示があるとき以外は,自ら患者のベッドサイドに積極的に出向いて,症状等を観察するということはなかった。ウズベキスタンで,最もレベルが高いといわれている病院でさえ,「看護記録」も存在していなかった。JICAプロジェクトでは,Client─Oriented Nursing(患者に寄り添う看護)の実現を目指して,基礎看護から領域別の看護(小児看護,成人看護,老年看護等)までの全領域のカリキュラム等を改善し,教育環境を整える取り組みを行った。この活動の詳細は,看護教育誌の連載1─4)で報告している通りである。
今回,プロジェクトの成果のモニタリングをかねてウズベキスタンを訪れる機会があり,教育機関,医療機関等を視察し,JICAプロジェクト以降,看護の現場が大きく変わりつつあることを実感した。ウズベキスタンの保健省,教育省も教育改革に積極的に取り組み,大統領も参加した国際教育セミナーを2012年2月16~17日に開催し,看護教育の現状について国際的に情報提供を行った。
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