実践報告
終末期患者の尊厳とスピリチュアリティの重要性への看護学生の認識―在宅死と病院死に関する学生の認識の分析から
安藤 満代
1
,
丸山 マサ美
2
,
井手 信
1
,
ニノ坂 保喜
3
1聖マリア学院大学看護学部
2九州大学大学院医学研究院
3にのさかクリニック
pp.935-939
発行日 2011年11月25日
Published Date 2011/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101925
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はじめに
終末期看護において,患者の尊厳を守り,スピリチュアルケアを実践することは大変重要なことである。スピリチュアリティは「患者の生きる意味感」「心の穏やかさ」1), 2)と「宗教的側面」から構成され,患者の生命の質(Quality of Life: QOL)とも関連していることから,近年,その重要性が認識されてきた。また,「患者の尊厳を守る」とは「患者の自己決定を尊重し,そのための情報提供と決定の機会の保障に努めるとともに,常に温かな人間的配慮をもって対応する」3)ことといえる。
近年,ホスピス・緩和ケアにおいて注目されている領域の1つに在宅ホスピスがあり,今後ますます在宅療養へ移行する傾向は強まると考えられる。その際,在宅死を可能にする要因4)として,看護師の在宅療養に対する姿勢が影響することが示されており5),看護師が在宅療養について正しく理解することが求められる。
「スピリチュアリティ」や「患者の尊厳」は抽象的であり,とらえることは困難だと考えられやすい。しかし,聖マリア学院大学(以下,本学とする)では将来看護師となる看護学生が,学生の時期にこれらの視点を身に付けることが重要であるという考えのもとに授業を構成している。本稿では,このカリキュラムを経た看護学生の,終末期看護における「スピリチュアルケア」や「患者の尊厳」に対する認識を,在宅療養に関係する「在宅死」や,「病院死」について検討した結果を報告する。
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