連載 沖縄から漕ぎ出す「島しょ保健看護学」の船出・1【新連載】
「島しょ保健看護学」の確立の必要性
野口 美和子
1
,
大湾 明美
1
1沖縄県立看護大学
pp.942-947
発行日 2011年11月25日
Published Date 2011/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101927
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はじめに
沖縄には多くの小離島がある。いや,そもそも沖縄そのものが離島である。そのため,沖縄の看護を考えるとき,島しょ保健看護学の追求,研究は重要な課題である。
沖縄県立看護大学は,開学のための基本計画において「島しょ保健看護」の教育研究が打ち出され県民に約束されていた。開学10余年の間,島しょ保健看護の講義や島しょでの実習が一部に行われており,また,さまざまな教育研究領域で,島の保健看護に関する研究が行われてきた。しかし,それは十分ではなく,大学全体として組織的に取り組んできたとは言い難いものであった。
そこで,2008(平成20)年度に文部科学省のGPプログラムに応募し,採択を得ることができた。GP(Good Practice)とは,優れた教育改革の取り組みを選び,支援し,広く社会に情報提供を行い,他の大学等がその取り組みを参考に教育改革することを促進し,大学教育改革を進めていくという「優れた取り組み」を意味する。本学が採択されたのは,質の高い大学教育推進プログラム「島しょ環境を活かして学ぶ保健看護の教育実践」(学部GP)と,組織的な大学院教育改革推進プログラム「島しょ看護の高度実践指導者の育成」(大学院GP)。文部科学省からの支援は,沖縄から漕ぎ出す「島しょ保健看護学」の船出に追い風となった。
この連載では,2つのGPからみえてきた島しょ保健看護学の確立の必要性を述べ,その取り組みや研究の成果を基盤にして,島しょ保健看護の専門看護師の養成による看護職の役割拡大への挑戦を述べたい。
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