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はじめに
2009年度新カリキュラムにおいて災害看護が新規の授業科目として構築され,統合分野で授業が開始されました。災害看護を机上で学ぶことはできても臨地実習のように災害地域で実際に看護が実践できないことから,演習や防災訓練への参加など,効果的な授業展開を考えながら実施しているのが現状です。
2011年3月11日(金),午後2時46分ごろ,マグニチュード9.0を記録する東日本大震災が発生しました。この地震による被害は甚大であり,死者・行方不明者は2万人以上にのぼり,避難所生活を余儀なくされている人は16万人以上と報告されました。本校は岩手県の内陸部に位置することから大きな被害はなく,学生・職員ともに全員無事であり,通常通りに授業を開始することができました。しかし,沿岸地域の被害は想像を絶するものであり,教員だけではなく学生からも,何か力になりたい,早く被災地の支援に行きたいという声が多く聞かれていました。
学校としてできる支援を考えているなか,2011年4月5日付けで文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課から「ボランティア活動が授業の目的と密接に関わる場合は,該当ボランティア活動の実践を各学校における授業の一環として位置付けることができる」「専修学校の高等課程又は専門課程にあっては,当該ボランティア活動自体を授業科目の履修とみなすことができる」と通知がありました。被災者への支援という災害ボランティアの機会を看護学生に体験させることは一つの効果的な災害看護教育となり得るのではないかと考え授業として災害ボランティアを実施しました。
そこで,学生が災害ボランティアとして岩手県野田村で被災者支援を経験し感じたことや学びについて訪問後にアンケート調査をおこない,看護学生の災害ボランティア体験の学びを明らかにし,看護基礎教育における教育効果について検討したいと考えました。
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