Nomade
少年よ,大志を抱け(Boys, be ambitious)—時を超える言葉
須田 浩太
1
1北海道せき損センター
pp.595-596
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200646
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5月になって北海道では桜が満開となりました.広大な農地では土が耕され,周囲の山々は一気に緑色へと変わります.雪解けの水は美味しく,空気は澄んできれいです.美唄は西へ地平線が広がっており夕日は絶景です.広大な農地の向こうに夕日が沈むまでの数分間は鮮やかな橙色,赤色,深紅色,紫色など空が百変化し,まるで巨大なスクリーンに映し出されたプロジェクションマッピングです.夕日が沈んだ途端,突然ロウソクの火が消えるがごとく夜空へと変わり,数えきれないほどの星が輝きだします.その美しさに息を呑み,日々の雑多を忘れて大自然に飲み込まれていきます.「星」は北海道開拓のシンボルでもありました.開拓民が星に託した夢や希望が時代を超えて伝わってきます.
「少年よ,大志を抱け(Boys, be ambitious)」クラーク博士の有名な言葉です.北海道開拓史はクラーク抜きでは語れません.諸説ありますが,これには続きがあります.Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame. Be ambitious for that attainment of all that a man ought to be.「金や出世や名声のためではなく,人としての使命を全うせんがために大きな志を持て」.すなわち,「大志」とは「野心」ではなく,「大きな志」「高い志」のことです.私利私欲ではなく,「世のため,人のために人生を歩め」,そのために志高くあれというメッセージです.
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