第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
講評●学生の「臨床」が見えてくる―「看護師の臨床の『知』」を創造し続けてほしい
佐藤 紀子
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1東京女子医科大学看護学部
pp.636-637
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101839
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■はじめに
編集部から受け取った10編の論文を目にして,私が最初に読み取ることができたのは,学生の創りだす「臨床」の見事さであった。20数年にわたる私の研究テーマは,「看護師の臨床の『知(knowledge)』」であり,この場合の「臨床」は看護師がいる場所を示す言葉としてではなく,「看護師と患者が出会う場」を意味している。つまり,「看護師の臨床」とは,看護師と患者/家族が偶然出会う場所であり,多くは看護師と患者の二人しかいない場を指している。
10編の論文のうち8編は,学生とその受け持ち患者さんとの「臨床」についての記述が中心であり,残りの2編は看護師へのインタビューを通してまとめたものと,学生に対するアンケート調査の結果をまとめたものであった。一つひとつの論文からは,学生のもつ豊かな感性を読み取ることができるが,ここでは受賞作として私が推薦した市川綾美さんの論文を読んで私が感じ分析したことを中心に,学生の「臨床」に焦点を当てて考えてみたいと思う。
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