第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
論文部門講評●―学生の「臨床」から見えるもの―「看護師の臨床の『知』」を創造し続けてほしい
佐藤 紀子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.680-682
発行日 2012年8月25日
Published Date 2012/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102160
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■はじめに
昨年に引き続き,学生論文の審査をさせていただいた。看護師を目指す学生は,学生でありながら看護師の仕事の一部を臨地実習という名のもとで行う。看護学を含む医療系の学生だけがこのように多くの実習を経験するのだが,これは職業選択ともオーバーラップする学習方法であり,学生は知識を記憶することや活用することを越えた,固有の経験をもつ患者や家族,そしてそこで仕事をする看護師とのダイナミックな出会いを経験することになる。出会いそのものが臨床であり,「看護師の臨床」とは看護師と患者/家族が偶然出会うことであり,その多くは看護師と患者の二人しかいない場を指す。そこでは学生は「ケアの提供者」であるが,実際には患者や家族からの視線を受け試される,受け身の自分としての存在とも出会うことになる。
ここでは,受賞作として私が推薦した松本未央さんの論文を読んで私が感じ考察したことを中心に,看護学生の「臨床」に焦点を当てて考えてみたいと思う。
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