書評
―DVD+BOOK―認知行動療法、べてる式。
原 千晴
1
1北海道大学病院
pp.323-325
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101245
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
人ってすごい,人っておもしろい
認知行動療法は「魔法のツール」?
精神科領域に従事していないものにとって,「認知行動療法」とは何やら魔法のツールのような響きがある.筆者は糖尿病療養指導士(CDE)だが,糖尿病のような慢性疾患を持ちつつ生きていく生活は,多かれ少なかれ「やってはいけないこと」「やらなくてはならないこと」の連続であり,患者も医療者も「わかっちゃいるけどやめられない」「やらなきゃいけないのにできない」の壁にぶつかっては弾き飛ばされる毎日である.
決められた薬を飲まなくちゃ,定期受診をしなくっちゃ,タバコを止めなきゃ,ケーキを減らして,お酒も控えめ,あ,運動もしないとね,ストレスも溜めこまないで……あらためて書き出してみると,今の世の中,健康な人でもそんな生活は送れないのは明らかだ.だから患者さんの気持ちはわかるけど,それが「できる!」にならないと,患者さんの病気は悪くなってしまう.そんなジレンマを抱えながら日夜苦戦を強いられている看護師は私に限らず,さまざまな領域におられるはずだ.そんななか,物事のとらえ方「認知」と対処方法「行動」にアプローチして変容を促すテクニックである「認知行動療法」の存在を知れば,そのエッセンスだけでも身につけたい,と思うのが自然だ.「認知行動療法」になにか私の知らない秘訣があるのじゃないか,と
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.