書評
ケアする人も楽になる認知行動療法入門 BOOK1 & BOOK2
岡島 恵子
1
1聖隷淡路病院
pp.73
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102327
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どのように事実を捉えたのか客観的に分析し,ストレスをセルフケアする
自身のストレスに対処するために
最近のメンタルヘルスの重要性とその対応から,認知行動療法という言葉を聞くようになった方も多いと思います。しかしその内容に関しては,まだあまり知られていないのではないでしょうか。実は私も初めてこの言葉を聞いたとき,メンタル不調をきたした人のみが対象となる心理療法の1つだと思っていました(実際に認知行動療法は,診療報酬化されています)。しかしこの療法は,普段のストレスマネジメントにも効果があることを知り,興味をもちました。
認知行動療法とはその言葉通り,ストレスの問題を「認知」と「行動」の両側面から改善していこうという考え方・方法です。事実は事実として存在しますが,それをどう捉え(認知),どう対処するか(行動)を考えていきます。例えば,のどが渇いているときに,コップに水が半分入っているのを見て(事実),「半分しかない(しょんぼり……)」と認知するか,「半分もある(やったー!)」と認知するのかということです。このとき重要なのは,事実に対して「どのように認知するべきか」ではなく,自分は「なぜそのように事実を捉えたのか」について,客観的に見つめ,分析していくことです。どのように事実を捉えるかは無意識に行なわれていることが多く,その認知がはっきりしないままに,その後の思考や行動が縛られ,ストレスがたまり,心身ともに疲れてしまうことが多いからです。
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