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書評 ―『看護教育学研究─発見・創造・証明の過程 第2版』―初版後9年間の研究成果が盛り込まれた教育研究者必携の書
川本 利恵子
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1九州大学大学院医学研究院保健学部門看護学分野
pp.293
発行日 2011年4月25日
Published Date 2011/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101729
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本書の初版が出版されたのは2002年,今から9年前である。当時は,高齢化社会の到来に向けて国民の健康を守るための重要な専門職として,大学教育による看護職育成が推進され,看護系大学が100大学,大学院が54研究科へと増設された社会情勢であった。この社会ニーズに応えるため,看護教育者らによって新たなる看護学教育の理念,目的,教育課程の検討が行われるようになった。2002年9月に大学基準協会から「21世紀の看護学教育」が発表され,注目を浴びたが,その直前に看護学教育に携わる者が日々どのような姿勢で看護教育を探求していくべきかというバイブルともいえる本書の初版が出版されたのである。
内容構成の核は「看護教育学研究の体系」「看護教育学研究のための方法論」である。そして,看護教育学研究の膨大な研究成果から,看護教育学研究を体系化し,看護学教育の理論を開発していくために必要な研究方法とは何かを,また看護教学育研究を行ううえで重要な方法論を述べている本書の骨格は,初版も第2版も変わっていない。また,9年前に出版された当時に多くの方が称賛した膨大な研究成果および緻密な整理および構築の素晴らしさは今も息づいており,改めて初版を読み直しても色あせていない。第2版は初版のすばらしさを失うことなく,むしろ多くの発展した内容を加えた書といえる。
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