BOOKS 海外文献
海外文献にみる看護教育学研究
太田 澄恵
1
1千葉大学医学部附属病院
pp.636-637
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900268
- 有料閲覧
- 文献概要
患者ケアに関する意思決定
この文献は,どのような意思決定が妥当かということではなく,患者ケアに際して看護婦の行なう意思決定に,意思決定理論が適用できるかどうかを検証した研究報告である.
意思決定の状況は,①可能性のある行為の組み合わせ,②それらの行為に連なる結果,③ある行為がなされた場合に各々の結果が生じる確率,④意思決定者にとっての結果の価値,という4つの構成要素からなる.行為とその結果が確実だと分かっていて他の周辺の因子が意思決定過程から除外できる時,意思決定は閉鎖状態であるといえる.看護実践における意思決定は,開放状態であるため,合理的には考えにくい.が,もしある看護行為に限られた数の結果が分かっていて,患者ケアの目標を達成するために適当なものとして順序づけができ,それを選択できるならば,看護における意思決定は,もっと客観的で系統的になり得る.意思決定過程として看護行為の選択をみることによって,患者ケアに関する次の要素に関心を向けることができる.①とられる可能性のある看護行為,②その行為の結果,③その行為が達成する患者ケアの目標.このように数量的理論である意思決定理論を用いて概念枠組みを導き,その検証を行ない,患者ケアの意思決定に意思決定理論を適用できるかどうかを検討している.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.