書評
―『看護研究 原理と方法 第2版』―質的研究と量的研究の対話によって進化した看護研究の新しいバイブル
藤島 麻美
1
1東京医科歯科大学大学院博士後期課程
pp.988
発行日 2010年11月25日
Published Date 2010/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101611
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本書の第1版は,言わずと知れた看護研究のバイブルであり,私自身も「辞書」のように活用してきた。質的研究の解説が大幅に増えたという本書の発刊を知り,単純な増章を予測して手にしたところ,まったく新しいタイプの本へ進化していることに圧倒されることになった。
まず気づかされるのは,実証主義や自然主義といった複数のパラダイムは,互いに長所と限界を補足し合う関係にある,という著者の一貫した態度である。したがって,本書の大部分は,質的研究と量的研究が独立した章に分かれているどころか,一つの節や文章の中にも同時に登場するのである。両研究手法が並行し,交差しながら論じられているところが本書の最大の特徴であり,他の書と一線を画するところである。それゆえ,1つの用語や手法について手っ取り早く学ぶという「辞書」的な使い方では,本書の魅力を存分に味わえない。ここは第1章からじっくり読んでみることをお勧めする。
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