書評
―『医療現場の暴力と攻撃性に向き合う 考え方から対処まで』―いますぐ現場で役立つヘルスケアスタッフのための「暴力対策の教科書」
友田 尋子
1
1甲南女子大学看護リハビリテーション学部
pp.1009
発行日 2010年11月25日
Published Date 2010/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101616
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医療現場の暴力と攻撃は,被害を受ける対象者が多種で,暴力と攻撃内容も加害者の数だけ存在し,被害はさまざまに深刻である。しかしこの問題は昔からあって新しいことではない。だが,語られてこなかった。なぜかを問うことさえ封印されてきた。
本書は,このテーマについてまず冒頭で警告し,「適切な介入がなされることで暴力と攻撃の多くは予防することも可能であり,被害を最小限にとどめることができる」としている。暴力についての定義を多角的多面的に捉えまとめており,読者が“暴力”の理解を深め整理することのできる内容であり,その技法は圧巻である。ただ本書の依拠する暴力定義が明文化されていないことから,その難しさを改めて知ることができる。
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