特集 「教員を辞めたくなるとき」に学校で向き合う
「辞めたい」を思いとどまらせる学校組織づくり
齊藤 茂子
1
1東京工科大学医療保健学部看護学科
pp.954-957
発行日 2010年11月25日
Published Date 2010/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101603
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はじめに
「仕事を辞めたくなるとき」は,誰にでも訪れる。能力の限界,役割葛藤,人間関係,家庭との両立,本人の健康問題など理由はさまざまである。私自身も何度も経験した。こうありたい自分と現実とのギャップに悩み,逃げて楽になりたいと思った。
しかし,そのたびに仕事を辞めていては進歩がない。「努力して苦しいときを乗り越えた」経験は,生きていくうえでも貴重な体験である。自分を見つめ直し,自信を回復できたときには,大きく成長しているからである。がんばったことや感動したことが,良き思い出となり人生を豊かにしてくれる。教員を目指したときの初心を思い出し,この時期をぜひ乗り越えてもらいたい。
辞めたい理由は,学校の体制や制度に起因することが多く,学校経営への重要なメッセージが込められている。同僚に相談している段階を超え,管理職に伝えるときには意思が固まっていることが多い。学校運営上,教員はかけがえのない存在である。本人の人生にとっても,学校経営にとっても,最も望ましい選択肢を選べるようにしたい。そのため管理職は,対応が遅れることの無いよう教員一人ひとりの状況を把握し,サインを見逃さずに関わっていくことが必要である。
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