- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2010(平成22)年2月に「今後の看護教員のあり方に関する検討会報告書」が厚生労働省から報告され,看護基礎教育の充実に向けたさまざまな方策を進めるうえで,看護教員の質の向上を図ることは重要であることが示唆された。そのなかで看護教員の不足という構造的な問題も今後留意していく必要があることも示された。
2009(平成21)年度の地域医療基盤開発推進事業「看護基礎教育の充実及び看護職員卒後研修の制度化に向けた研究」の1つのプロジェクトで「看護教員の養成とキャリアアップに必要なシステムの再構築に関する研究報告書」によると,「専任教員の経験年数との実態から離職・転職の状況の調査では,大学・短期大学では経験豊かな教員の比率が低く,5年未満の経験者が現行の教育を担う傾向が見られた。3年課程・2年課程については経験豊かな教員の3割が現任を継続し,1~5年が過半数を占め,これからベテランになるであろう6~9年の人材が2割に減少していることが確認できた」1)と報告されている。また「教育課程別離職者総数の推移の実態を調査した項目では,平成16年に比べると平成20年はどの課程も離職傾向が高くなっていた」2)と報告されている。「離職理由は『家庭の事情』が一番多く次いで『他看護師養成機関への移動』または『臨床への移動』であった。また比較的バーンアウトや体調不良による離職も多いことに注目している」3)ともある。
この報告から,教員が辞めたいと思う時期や内容について現場で今何が起こり,どうすることが教員の離職を早期に防止できるかを考えたいと思う。孤軍奮闘しながら教員の育成をしてきた立場で,どこの学校でも起きやすい身近な問題を取り上げてみた。なかなか変えられない学校の環境にジレンマを感じながら,私の知っている範囲での,今回のテーマに沿った5つのケースを紹介し,それぞれの立場で考えることを述べたい。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.