Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』―人が自殺を思いとどまる時
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.698
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100345
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1951年に発表されたユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』(多田智満子訳,白水社)には,古代ローマの皇帝ハドリアヌスが,一旦は思い定めた死の想念から解放される過程が描かれている.
心身の病苦と衰弱に悩まされていたハドリアヌスは,ある日自ら死を決意する.彼はかねてより「人間はどの瞬間から彼の命が役だつことをやめるかを決める権利がある」と考えていたのである.
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