特集 「教員を辞めたくなるとき」に学校で向き合う
「辞めたい教員」に対するカウンセリングの必要性
上地 安昭
1
1武庫川女子大学臨床教育学研究科
pp.962-966
発行日 2010年11月25日
Published Date 2010/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101605
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看護教員が辞めたくなるわけ
私は社会人を対象にした大学院で臨床教育学を教えている。臨床教育学を学ぶ社会人大学院生は,これまで現職の学校教師が主体だったが,最近は看護師や看護専門学校の先生が毎年数人入学してくる。看護専門学校の先生方に話を聞くと,いま看護専門学校は極めて厳しい状況に置かれているとのこと。そういう状況にある先生から相談を受けた場合は,その先生個人の問題というより,それは看護専門学校という特殊な状況に置かれた先生方の共通の問題であるという前提のもとで,その先生の悩みを理解しようとする姿勢が大事になる。
当大学院で学ぶ看護専門学校の先生方の研究内容やデータから読み解く限り,最近の看護専門学校の学生は,20年ないし15年前と比べると,人間的な未熟さが気になる学生が増えつつあるようである。看護師というと,相手の痛みを感じ取る力,やさしさや思いやり,生命の尊厳を大切にする感性が備わっているというイメージがある。しかし最近の若い看護学生の場合,必ずしもそのような資質を備えていない子が増えつつあるとのことである。つまり,「看護技術を教える前の人間性の問題が気になる子が増えつつある」と嘆く先生が多い。
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