第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
高齢者の回復意欲を高める看護のあり方―遊びリテーションを通した効果的な支援法
中野 美保
1
1大崎市医師会附属高等看護学校
pp.678-681
発行日 2010年8月25日
Published Date 2010/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101534
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はじめに
高齢者は加齢による機能低下に加えて,何らかの原因で長期臥床した場合,急速に日常生活能力が低下する。その結果,自尊感情の低下が生じ,生きる目的や意味が見出せなくなり,生活全体が活動性の低い状態になる。そうした状態を改善するためには,活動性を高め回復意欲を向上させるための,日常生活動作(以下,ADL)の自立に向けた援助が肝要となる。
S氏は70歳代後半の老年期の女性で,膵炎の再燃と寛解を繰り返し,入院8か月目となっていた。受持ち時,リハビリテーション(以下,リハビリ)が再開されたが「何もできない」「思うように立てない」「リハビリが進んでいるように全然感じない」等,否定的な言動が多くみられた。
今回担当した患者に対して,ADLの拡大に向けて,患者が喜びや楽しさを実感することができ,手指の巧緻性を高める指導・援助を行うことが有効であろうと考えた。そこで,遊びを交えたリハビリを行うことで,患者の回復意欲の向上が図られ,効果的にADLを拡大できる指導援助に取り組んだ。
このような「遊びリテーション」(三好春樹氏が提唱している,リハビリに遊びの要素を取り入れたもの)を取り入れることで,高齢者の回復意欲を喚起し,ADLを拡大させるための有効な手段になるかを,実践を通して明らかにしたいと考え,本主題を設定した。
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