第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
【優秀賞】高齢の透析患者における行動変容―寄り添い,共に考え共に進む
池田 美咲
1
1国立療養所長島愛生園附属看護学校
pp.674-677
発行日 2010年8月25日
Published Date 2010/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101533
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
今回私は,透析導入から1年9か月余り経過している患者を受け持った。A氏は,疾患の病態について自ら熱心に勉強し,私に何度も食事療法の必要性について話をしていた。しかし,「制限なしにして好きなだけ飲ませればいい」等の言動が聴かれ,水分やカリウムの多いみかんを,1日3~4個摂取するなど間食が目立っていた。また「人から,あーしなさいこうしなさい言われるのが,わしは怒るんじゃ」という発言が聴かれたため,治療に伴う制限に関連したストレスを感じないようにすることが必要と考え,今までの背景を理解し信頼関係構築から始めた。そこでまずA氏の話を聴いて受け止めること,治療の必要性を一緒になって考えていくこと等,共に学び共に考えていく関わりを大切にした。その結果,A氏は自ら“みかんを買って食べること”から“果物味の飴を買って食べること”に行動が変化していった。この行動変容が起こるまでの過程について明らかにするため,今回この事例を報告する。なお,A氏が特定されないように,倫理的配慮を行った。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.