映評
―『前立腺肥大症(BPH) フォーカスメディカ 疾患解説アニメーション』―現代の重要疾患を看護の視点で学習できる。実習前学生のイメージ作りにも
堀 美保
1
1福岡大学医学部看護学科老年看護学
pp.489
発行日 2010年6月25日
Published Date 2010/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101482
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
学びは,授業の中だけで得られるものだけでなく,授業以外の場で,どのように学習し,体験するかといったことも大切になります。学生が,主体的に学習が進められるようにするには,教員のカリキュラムの構成や教材の提示が重要になってきます。主体的に学ぶことをサポートするものの1つとしてCD─ROMやDVDは,手軽に活用することが可能だと思います。
前立腺肥大は,加齢とともに男性ホルモンが増加し,ホルモンのバランスが崩れて発症するといわれています。そのため,高齢化が進むなか,主要な疾患となりつつあり,学習の必要性が示唆される疾患の1つです。また,前立腺肥大の症状の1つとして,排尿障害が生じることから,患者の理解や尊厳を大切にするためにも,症状や必要なケアを理解しておくことが必要になると思います。このCD─ROMソフトは,病態,病因・症状,検査法,治療法,ケア・予防と段階的に構成されています。そのため,時間的にも長くもなく,短くもない時間であり,集中できる時間内でおさまっていることを感じました。各項目の説明には,CGアニメーションが用いられ,映像と共にナレーションも入っています。このことから,スムーズに頭の中に入りやすく,1人でも学習できるといったメリットがあります。また,病態項目では,体のどの位置に前立腺があり,周囲の臓器には何があるかが立体的にわかるようになっているため,前立腺肥大によって,どのような症状が生じるのか,周囲の臓器との関連性をふまえながら学習することができるようになっています。疾患だけでなく,日常生活の注意点などQOLに関連した部分にも取り組まれていることは,看護の視点で学習するうえでも必要です。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.