特別記事
日々の看護体験を体系的知識に結びつける帰納的学習―『ペーパー・ペイシェントで学ぶ教える』意義とは
坪倉 繁美
1
1日本看護協会 事業開発部
pp.390-392
発行日 2010年5月25日
Published Date 2010/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101461
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「よく考える」ことの意味
「よく考えて」自分で答えを導き出す力をつけることは,問題解決能力を身につけ自律的に自信をもって働き続けることにもつながる。十分に意味もわからずして看護を行っていたけれど,学ぶことによって「ああそうか」と実践と理屈がつながり,わかっていくことの心地よさや楽しさを味わうことによって,学ぶことの意義も見出せるのである。そして学び続けることは,いいかげんな考えをよしとしない自分を作り上げることでもあり,自分を偽らないことでもある。
ところが,指導者は相手に「よく考えろ」と言うだけであって,言われた側は「よく考えろ」と言われてもこれで精一杯,これ以上考えられない,ということがある。「よく考える」には,どのような視点をもてばよいのかわからず右往左往する。便利な言葉であるが,実は要求する側も何を考えるのかよくわかっていない場合でも相手には「もっとよく考えろ」と要求することが多い。
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