書評
―『ペーパー・ペイシェントで学ぶ教える 第2版 精選18の事例演習』―考えることの楽しさ・手応えを引き出す問いの宝庫
植田 久美
1
1弥富看護学校
pp.339
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101449
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この本には,ペーパー・ペイシェントで“考えるための手がかり”が凝縮されている。紙上に示された対象を把握し,アセスメントから看護計画を立案するプロセスにおいて,何を,どう考えればよいかという「問い」を投げかけ,問題解決思考を導いてくれる。主要疾患の病態生理から看護展開まで順を追って詳述する模範的ケーススタディとは一線を画する。
“手がかり”は前版から精選された18事例に盛り込まれている。まず「必要な知識」を携え,次に「イメージ化」で対象の体験世界に寄り添い,さらに「因果・関連・発展思考」により問題解決の糸口をつかむという構造だ。そしてこの指針は,体験的知識を活かし安定した知識として再構築する「帰納的学習」の視点で貫かれている。
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