紹介
理学療法過程に関する学内演習の試み―ペーパーペイシェントを用いた問題解決型学習の方法について
沖田 一彦
1
,
宮本 省三
1
,
板場 英行
1
,
阿部 敏彦
1
1高知医療学院
pp.127-131
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103455
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.初めに
理学療法評価(以下,単に評価と言う.)が単なる検査・測定の実施を指すのではなく,患者に関するさまざまな情報を収集した上で,それらの統合・解釈を経て抽出された問題点に対し,適切な目標設定とプログラム立案を行なうまでの一連の過程を意味することは言うまでも無い1,2).すなわち評価とは,患者の問題を解決していく過程そのものであると言ってよい.しかし,時間的空間的な制約の大きい学内で、学生にこういった問題解決のための思考過程の学習を経験させることは容易ではない.そこでわれわれは,この問題に対処するために,ペーパーペイシェント(paper patient)*を用いて評価過程の演習を試みた.
*カードに記載された患者の諸情報を基に診断や治療計画の教育を行なう一種のシミュレーター(simulator)であり3,4),「紙上想者」,「紙上事例」などと訳されることもある.
今回はその具体的な方法を紹介するとともに、本演習の効果と問題点に関するアンケート結果についても報告した上で,学内における問題解決型学習の在りかたに若干の考察を加えたい.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.