焦点 教材としてのペーパーペイシェント(紙上患者)
ペーパーペイシェントの実際
武田 淳一
1
,
芦澤 トモ子
2
1国立療養所久里浜病院
2国立病院横浜医療センター附属看護学校
pp.40-51
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100205
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■ 精神看護学の現状
現代の変化の激しいストレス社会にあって,心を病んだ人たちが年々増加している。わが国の傷病別受療状況をみると,「循環器系の疾患」についで「精神および行動の障害」の入院受療率が高くなっている。精神看護学が重要視される所以である。ところで,精神看護は疾病で病む人はもちろんのこと,精神保健上からみた健康者の心の健康を保持増進させることも含む,すべての人間を対象としている。
精神機能障害は,認知機能・知覚機能・感情機能・人格統合(自我意識)機能・意欲と行動機能の障害で,幻覚・妄想・意欲低下・寡黙・興奮・不安恐怖・自閉・自傷・無為・抑鬱・記憶障害・集中力低下・多弁多動・作話など,いろいろな症状がみられる。精神障害者が体験している症状は,いくつかの症状が複合的に重なり合って現れることが多い。そして,多くの機能低下により日常生活にさまざまな影響を受け,とくに対人関係やセルフケアの低下がみられる。また,偏見や阻害から特殊な扱いを受けたり,人的・物的・社会的環境のサポートシステムの不足から,対人関係や生活能力に2次的な機能低下をきたしてしまうことが多い。
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