連載 ウズベキスタンで看護教育を『変える』・4【最終回】
カリキュラム改正の実際―母性看護,小児看護,地域看護
宮﨑 文子
1
,
高野 政子
2
,
桜井 礼子
3
1大分県立看護科学大学
2大分県立看護科学大学小児看護学研究室
3大分県立看護科学大学保健管理学研究室
pp.340-347
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101450
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
今回は,母性看護,小児看護,地域看護について紹介する。
ウズベキスタンの母子保健,地域保健に関する看護教育のカリキュラム改善において実感したことは,1991年の独立後も旧ソ連からの比較的体系化された医療保健制度を継続してきたにもかかわらず,経済的および人的視点からその機能が十分に果たせなくなっていることである。そして,その結果として医療保健体制と実態との格差が大きく,またタシケントのような都市部と地方との格差が大きい。母子保健に関連するシステムでは,出産は施設分娩が法的に定められており,タシケントでは周産期センターなどでの施設内分娩がほとんどであるが,地方では自宅分娩が半数以上になっている。妊娠中の健診の回数は国際基準の回数が定められているが,妊婦健診も利用されない現実があり,乳児死亡率は高く,感染症の問題は解決されていない。さらに,母子保健等の実態を表す保健統計データの示し方等も,旧ソ連の方式では国際基準と異なっており,国際比較が難しい。
一方,今回改善された看護教育プログラムを通して,臨床現場等が変わりつつあることを実感したのも確かである。そこで,看護教育改善プログラムの全国展開を通して,全国各地の現場が変わり,将来的には都市部と地方との格差や医療保健体制の格差の解消に結び付けば,と期待している。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.