書評
―《シリーズ ケアをひらく》『技法以前 べてるの家のつくりかた』―「当事者」不在の援助は本当の課題を解決し得ないケアの本質に迫るドキュメント
長谷川 直人
1
1山形大学医学部看護学科
pp.329
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101446
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●回復を促す援助者の雰囲気・資質がある
「当事者自身が“自分を助けること”を助ける」─私は看護師時代を振り返り,その理念を納得するだけで,ケアできていたつもりになっていたのかもしれないと切に感じた。
治療の主役は患者自身であり,看護師の役割はその支援であるという考え方に異論は少ないと思う。今まで患者自身の治る力を支援するためにさまざまな看護技術が開発されてきた。しかしながら,その通りに実践してみてもなぜか成果があがらない。同じことをやっているはずなのに,なぜかあの人がケアすると患者が変わる,ということを体験したことはないだろうか。言葉で表現するのは難しいが,患者が自信を取り戻し,回復を促すための援助者の雰囲気,資質のようなものがある。著者はそれが何であるかを考えさせてくれる。
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