連載 医療と社会 ブックガイド・19
『べてるの家の「非」援助論』・1
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.708-709
発行日 2002年9月25日
Published Date 2002/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903910
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北海道の浦河町にある<べてるの家>とは何かはなかなか説明しがたいのだが,ホームページには「小規模授産施設,作業所,有限会社,共同住居の4つの柱からなる共同体の総称です」とあった.ここ2週間ほど時々開いているのに,さっき初めて組織図と地図が巻末に折り畳まれているのに気がついた.特に地図を見るとなんとなく感じがつかめる.そしてひどく存在感のある人々の写真,おもしろいと言うほかないイラストというか漫画(鈴木裕子・作)があってなんだかわかるような気がしてくる.この<ケアをひらく>シリーズの本は使っている紙が軽く,それで本も軽いのだが,その軽さがそうやってぱらぱら漫画を見ながら読むのに適してもいる.
これから書くように,ここで行われていることは理にかなったことだから.どこでもいろいろと使える技が入っていて参考になるかもしれない.しかしそれだけならいやだ,と私は思ってしまう.ここにあるのは「私は病気,はいそうです」みたいな乗りだ.そこがやはり大切なのであって,この乗りを外して,部分を取り入れたらかえって気持ち悪いことになるのではないかと思う(が,そんな半端なことはできないに違いない,とも思いなおす).
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