特集 PBLは報われる
PBL教育を導入した成果と展望―小倉南看護専門学校の実践
大木 清美
1
1小倉南看護専門学校
pp.1078-1081
発行日 2009年12月25日
Published Date 2009/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101357
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はじめに─PBL教育導入の経緯
本校では,指示をされると行動する,課題を与えられると考える。逆に言えば指示された通りにしか動けない,課題を与えられないと考えない学生ではなく,自分で考え,行動できる力を持った学生を育てようと,1997(平成9)年より,自ら求め自ら学ぶ,主体的学習姿勢をもとに状況判断能力,問題解決能力を身につけることを目的とした,PBL(Problem-Based learning)を取り入れた教育を行っている。学習目標に合わせて作成された事例を通し,主体的な学習やグループ内でのディスカッションを繰り返し行っていくことで,問題状況の的確な把握,判断および解決能力を向上させる。これらの成果は5回の学会発表1─5)で報告を行ってきた。
しかし,PBL導入から10年を経過して,学習内容が「身体面に起きている問題に対する根拠の追求」に終始する傾向が見られ,グループワーク中の発言からも対象者の状況をイメージし,対象者の立場に立って感じる力および考える力が低下してきていることが顕著に見られた。これは,本来看護で必要な人を思う感性や,人としての人生を支える使命感の欠如を表わしていると考えられた。そこで,本校では看護学校で行うPBL教育の本来の効果を上げるために,人間関係の基礎力となる基盤教育を行い,この基礎力に基づいたPBL教育を実施するシステムを考案し,実施している。
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