特集 PBLは報われる
PBL教育が生まれた背景と概要
森 明子
1
,
大隅 香
2
1聖路加看護大学看護実践開発研究センター
2聖路加看護大学
pp.1066-1071
発行日 2009年12月25日
Published Date 2009/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101355
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はじめに
Problem-Based Learning(以下,PBL)は,1960年代中頃にカナダのマクマスター(McMaster)大学医学部で開発された教授─学習方法である。その背景にはヘルスケアニーズの変化があり,学生を医療現場で出会うさまざまな問題に柔軟に対応する能力を育んで卒業させる必要に迫られたのである。それが,臨床的な問題と基礎科学を統合して学び,講義を減らして学生からの問いを引き出し,議論する機会を増やすという教育方法への転換を生み出すことになった。
PBLは今日,アメリカ,ヨーロッパ,アジアの医療系教育機関に広く普及してきている。日本では東京女子医科大学での導入が1990年ともっとも早く,以後,医学部だけでなく保健医療系の複数の学部・学科で取り組まれるようになった。
私たちの勤務する聖路加看護大学では,1996年から,当時の科目名称「母性看護学」でPBLを導入した。その後,カリキュラムが変わり,「家族発達看護論I」「保健医療福祉行政論演習」の2つの科目で取り組みを継続している。しかし,PBLは本学における教育方法の1つとして認知され,特色とされてはいるものの,全学的な取り組みになっているとは言い難い。それはなぜなのか,また,それにもかかわらず継続されているPBLの魅力と,今後の展望について述べたい。
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