第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
救急医療における家族看護―ナラティヴ・アプローチのプロセスで果たす看護師の役割
吉田 由紀
1
1奈良県立奈良病院附属看護専門学校看護学科
pp.712-715
発行日 2009年8月25日
Published Date 2009/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101272
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はじめに
救急医療の現場において,家族は突然の出来事に激しく混乱する。そのため,患者とその家族をともに支える看護がもとめられる。
今回,交通事故で緊急入院し,ICUからHCUへ移床となった18歳の患者を受け持った。患者とその家族を支える看護を実践し,その家族である母親との関わりにより,救急医療における家族看護の特性に気付いた。その特性とは,過去の振り返りとその過去への意味づけである。つまり,突然のできごとを受け入れ,今この現実を受容しようとする心の働きである。この心の働きは家族が看護師に語るという方法で表現され,また看護師もそのプロセスを支えるため家族に語ることになる。このような医療者と患者の相互関係を表現する言葉としてナラティヴがある。野口1)はナラティヴは語りと物語の両方の意味合いを持ち,特定の語り手と聞き手とがセットになった物語であるとナラティヴの変容がそのまま患者(家族)の変化を表す指標となるとしている。
ここではナラティヴ・アプローチのプロセスで果たす看護師の役割に注目し,次のように考察できたので報告する。なお,今回の研究をまとめ発表することについては,患者家族である母親の了承を得ている。
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